顎関節症治療
顎が痛い方へ
●顎関節症が治らない患者さんへ
大学病院では主に、マウスピースといって上の歯ないし下の歯に透明な歯型のような物を装着します。ところが、その人に合わないマウスピースを入れられて、治るどころか逆に症状を悪化させてしまうケースが多々みられます。患者さんが「痛くて入れられない」「あまり変化がない」と訴えても、「我慢して入れていてください」と言われてしまいます。未熟な医師が製作したマウスピースの治療結果をもとに、50例・100例集計(統計)してマウスピースはあまり効果がないと結論を出してしまった大学もあります。
私がよく患者さんに話す“意志をもったマウスピース”とは
一般に大学をはじめ多くの先生が、噛む面がまな板みたいな平らなマウスピースを上の歯ないし下の歯に装着します。上下の中間に平らなマウスピースを入れて、悪い噛み合わせを一時的にキャンセルしているだけです。
もちろん、よくなる人はいます。これで治療できた人はハッピーだと思います。当院では意志をもったマウスピース治療を提供することが大切だと考えています。左に顎が片寄っているので中央にもっていくようにとか、下の顎を後ろに引いて噛んでいるのでもっと楽に前で噛めるようにする、それが意志をもったマウスピースなのです。
当院のマウスピース(スプリント)とは
人間は、起きている時に噛み合わせているポジションと、睡眠中に噛み合わせしているポジションと、2つのポジションをもっています。
●夜用マウスピース
昼間の食事中や仕事中はせいぜい噛み締めても17kg前後、スポーツや力作業時でも30kg前後で噛んでいます。ところが、睡眠中はなんと100~200kgの力が加わるのです。人気プロゴルファーの石川遼選手のCMでも「歯に200kgの力が加わります」とありますがまさにその通りです。
この力が、特に奥歯にかからないように、噛み締めないようにするのが大切です。そのため、奥歯の噛み締めを防ぐ意志をもったマウスピースを製作しなければなりません。これが成功すれば、起床時の頭痛や日常の首筋の凝り、肩の張りなどかなり改善します。おそらく70~80%の人は嘘みたいに改善します。
●夜用マウスピースの治療の進み方
まず、来院時に簡単に顎関節アンケート(問診表)をご記入いただき、スタッフがお話をお聞きします。院長の診断後、必要ならレントゲン、あるいは顎関節や頚椎の3D(CT)を撮影します。レントゲンや歯型(スタディモデル)を基に診断します。マウスピースが有効と診断したら、直ちに治療にかかります。
まず夜用マウスピースをその方の歯型や噛み合わせの記録より製作します。
製作した夜用マウスピースを就寝時に装着してもらいます。枕もベッドもご自分の慣れたもので結構です。そして朝を迎えてください。大半の人は、そのマウスピースが手放せなくなるはずです。
●さらに昼用マウスピースも試したい方へ
昼用マウスピースをつけているだけで首、肩が楽になります。今度は食事以外の起きている時に装着するマウスピースです。一般に下の歯に入れることが多いです。噛み合わせが極端に悪い方は、同時に上の歯にも入れて生活をしてもらいます。これにより噛み合わせがかなり改善して、頭痛・首筋の凝り・肩凝りなどもなくなります。(70~80%の患者さん)
うまく治療効果が出ると、患者さんが「このマウスピースすごいですね!」と絶賛します。「先生の治療すごいですね」とは言ってくれませんが…。
●昼用マウスピースで効果が出た方へ
昼用で効果が出ると、今度は食事の時も外さなくていいように自分自身の歯の噛み合わせを治せないかと聞いてきます。その場合は、歯に直接プラスチック(レジン)を貼るレジンアップ法や、悪い噛み合わせの歯を仮歯のプラスチックに置き換えたりして、マウスピースなしで生活してもらいます。これで昼用マウスピースと同じ効果が出ればしめたものです。あとは材質の強い擦り減らない歯へ置き換えるだけです。
CT画像(ブルーが気道)
正常
気道が細いためいびきをかく
根本原因は、すべて顎のズレ・夜中の噛み締め(食いしばり)
- 口を開けると顎が痛い
- 特殊な偏頭痛がある(朝起きると頭痛があり、夕方になるに従って楽になる)
これらは、典型的な夜中の食いしばりが原因です。
いびきは上記写真のように気道が狭いため、呼吸の時、気道の通り道を舌根(舌の元)が圧迫しているのです。先天的に細いわけではありません。下の顎を前で噛めるようにするだけで気道が広がります。そして7~8割の方のいびきがなくなるか、少なくなります。